除菌、抗菌といわれてからだいぶたちます。
今や私たちの生活にじゅうぶん浸透していますね。
家のいたるところに使用する除菌アイテムや、赤ちゃん用の抗菌グッズ。
公共施設で抗菌処理されたトイレまわりの器具など、誰もが1回は使用したことがあるのではないでしょうか。
「菌とは、よくないもの」というイメージがありますが、なかには人間のからだに必要な菌も存在します。
実は、顔に菌がないと肌トラブルにつながるということを知っていますか?
人間の体は菌だらけ
人間の体には、多くの菌が存在します。
その80%は腸内細菌。
最近の研究では腸のなかに500~1000兆個はいるのではないかといわれているのです。
菌のなかにも体の健康によい影響を与える「善玉菌」と悪い影響をおよぼす「悪玉菌」が存在します。
ただ、この善玉菌と悪玉菌はあわせて全体の30%程度。
残りの70%は「日和見(ひよりみ)菌」と呼ばれるもので、健康な状態のときはおとなしくしていますが、いったん悪玉菌が活躍を始めると、一緒になって悪さをする困った菌です。
菌はバランスがポイント
菌のバランスは代謝や免疫という体の機能に影響をあたえます。
腸内細菌は、食べ物によってバランスが動くため、「ヨーグルトを食べなさい」と言われるのです。
さて、お話を顔に移しましょう。皮膚にも多くの菌が存在しています。
顔の肌に限っても80万個もの常在菌があるのです。
この常在菌の生命活動が肌を保護する機能を高めて、ツヤ、ハリを生み出しているのです。
もちろん皮膚にも「表皮ブドウ球菌」のような善玉菌もいれば、「アクネ菌」のような悪玉菌も存在しています。
お肌が健康なときは、それぞれがお互いに作用しあいながら、善玉菌優勢のバランスを保っているのです。
しかし、このバランスがくずれて悪玉菌が活躍し始めると、ニキビや吹き出物、炎症などの肌トラブルを起こしやすくなります。
「じゃあどうすればアクネ菌を取りのぞくことができるの?」と考えてしまいがちですが、ニキビの原因といわれるアクネ菌も、過剰に増えなければニキビをつくることもなく、むしろきれいな肌づくりに役立っているのです。
皮膚の常在菌のはたらき
皮膚の常在菌は、おもに3つのはたらきがあります。
皮脂を食料として、肌を保護する成分を作り出す
肌を弱酸性に保ち、病原菌を寄せ付けないはたらきをする
老化とたたかうための抗酸化物質を分泌する
菌は、きれいな肌づくりをするために必要なものなのです。
洗顔時は注意
皮膚に存在する常在菌も、洗顔をするとほとんど流れてしまいます。
けれども洗顔後に皮脂が出て、すぐに毛穴の奥に残っている常在菌が皮脂を食料にして増殖するため心配はいりません。
注意したいのは、肌に残るべき未成熟な角質や、肌のうるおい成分である細胞間脂質まで落としてしまうような洗顔なのです。
何度も何度も洗顔をしたり、ピーリング効果の強い洗顔剤を使用して、「やりすぎ洗顔」をしてしまうと肌が乾燥して、なかなか皮脂も分泌をしてくれなくなります。
常在菌も食料がないので、増えてくれません。
その状態が続くと、肌を保護する機能が低下して肌荒れを招き、炎症につながります。
すると、おとなしくしていた悪玉菌がどんどん増えてしまうのです。
正しい洗顔法を身に着けて、常在菌のバランスを保ち、仲良くお付き合いをしていきましょう。
皮脂のおはなし
季節の変化によっても肌質はかわる
四季の変化に富んだ日本では、肌質も季節によって変わります。
一般的に夏は肌の水分量が多くなり、汗とともに皮脂分泌量も多くなります。
いっぽう、空気が乾燥する冬は水分量も皮脂量も少なくなります。
また春も肌にトラブルを起こす人も多いです。
肌質には個人差もあるので、自分の肌の状態にあったお手入れをしていくことがポイントとなります。
あぶらとり紙にも注意
皮脂は、前述のように皮膚の常在菌をふやす役割や、皮膚のうるおいを保ち外から受ける刺激から肌を保護するはたらきがあります。
あぶらうきを気にしてあぶらとり紙を多用すると、必要以上に皮脂を落としているかもしれません。
正しい洗顔とその後のお手入れを行うことで、あぶらとり紙を使用する回数がぐんと減らせるでしょう。
読んでくださりありがとうございました。