シワができる場所はさまざまです。額、眉間、目の下、目尻、口元などなど・・・。
老けた印象はシワ、たるみによるものだといえます。
シワの主な原因のひとつは乾燥。
適切なお手入れを続けることでシワを予防するのがベストなのですが、「できてしまったシワは仕方がない」とあきらめてしまうとシワは次第に深くなっていきます。
少しでも早くリカバリーすることで目立たなくすることは可能なのです。
乾燥はどんどん進む
角層には3つのステップによってうるおいを保とうとする働きがあります。
一番外側は皮脂と汗が混じりあってできる「皮脂膜」。
肌の表面から水分が蒸発するのを防ぎます。
皮脂膜の内側には、角質の細胞のなかで水分を抱えている「天然保湿因子」。
さらに内側には、保湿成分セラミドを主成分として、角層内のうるおい保持機能の多くを占める「細胞間脂質」があります。
この肌のうるおいを保つ力が弱くなると、角層の水分量が減ります。
つまり乾燥するのです。
乾燥でバリア機能が損なわれると、肌が「なんとかしなければ!」とあわてて角層を作ろうとします。
いつもとはサイクルが違ってしまうため、まだ成熟していない細胞が肌の表面に出てくることになり、ますますバリア機能が弱まる、という悪循環になってしまうわけです。
乾燥から、肌トラブルの連鎖へ
乾燥から肌を守るために、角層はみずからを厚くしようとします。
その結果、新陳代謝も停滞してコラーゲンやエラスチンといった弾力成分も減ってきます。
シワ、たるみはこの段階で起こりやすくなります。
たるみは毛穴を伸ばしてしまい、いわゆる「たるみ毛穴」を招きます。
乾燥は、皮膚を健やかに保っている皮膚常在菌のバランスも崩してしまうので、アクネ菌が優勢になり、ニキビや吹き出物を招きます。
また新陳代謝が停滞すると、角層のなかのメラニンも排出できずにシミも現れやすくなります。
つまり、乾燥は肌のあらゆるトラブルの原因になるのです。
そのお手入れが乾燥を招く!
普段、肌をきれいにするために行っているお手入れがかえって肌のうるおいを奪っていることがあります。
(落とし過ぎ)
肌の汚れをしっかり落とそうと、洗浄力の高すぎるクレンジングを使っている場合、前述の角層のうるおい保持成分までうばってしまいます。
また、“洗顔時は水かぬるま湯で”といわれるのは、温度の高いお湯で洗顔をすると皮脂が溶けて流れてしまうからです。
肌はみずから、うるおいを回復する力があるのですが、こういった取り過ぎる洗顔を続けていくうちに、次第に肌の回復力が追い付かなくなり、常に乾燥している状態になってしまうのです。
(こすり過ぎ)
角層の厚みは0.02㎜程度です。少しの摩擦でも肌は傷つきます。
スクラブ洗顔や、毛穴パック、ふき取りクレンジング、肌にパンパンとたたきこむスキンケア用品は要注意。
角層が傷つくと、肌の水分が蒸発しやすくなって乾燥へつながります。
また目のまわりの皮膚はデリケートなので、こすり過ぎるとシワや色素沈着の原因となってしまいます。
(注意)
皮脂が多いから脂性だと思ってしまう方は意外に多いです。
でももしかするとインナードライ肌という、肌表面はテカリがちなのに、肌の内部が乾燥している状態なのかもしれません。
肌の内部が乾燥すると肌を守ろうとして皮脂を大量に分泌することが原因です。
判断めやすとしては、洗顔後、タオルドライしてなにもつけずにそのまま10分~15分おいたとき、肌のテカリとツッパリ感の両方を感じたらインナードライ肌の可能性があります。
詳しく知りたい場合は専門医に診断してもらうのもひとつの方法です。
最後は自分の肌が頼り
「いくら化粧水をつけても、全然中に入っていかない」。こんな声をよく聞きます。
乾燥した肌は、水分を保つ力そのものが低下しているため、いくら外からうるおいが入ってもすぐに蒸発してしまうからです。
まずは洗顔で、必要なものまで取り過ぎないようにしましょう。
そのあとにつける化粧水は、細胞を活性化させる成分(アロエベラ葉エキス、オタネニンジンエキス、カミツレ花エキス、加水分解酵母エキスなど)の入ったものを使用して、うるおい保持成分である「天然保湿因子」「細胞間脂質」を生み出す力を高めます。
セラミドやコラーゲンの入ったスキンケア用品も一時的には効果がありますが、乾燥を根本的に見直すには、まず自分の肌そのものの力を回復させるしかありません。
生活習慣でも肌は乾燥する
まわりの環境や生活習慣でも肌は乾燥します。おもなところでは
■紫外線
・日焼け、シミだけでなく、紫外線は肌を乾燥させます。
■エアコン
・室内の湿度が50%以下になると肌の乾燥が始まります。
エアコンは空気から水分をうばっているのです。冬だけでなく夏も湿度を意識してください。
■急激なダイエットや睡眠不足、運動不足
・新陳代謝を低下させ、肌の乾燥につながります。
■長時間の入浴
・お湯に長くつかりすぎると、うるおいを保つ成分が流れ出てしまいます。長くても15分から20分にしましょう。
■油分の多いクリーム、ジェルをたっぷり使う
・水分を逃がすまいと、化粧水をつけたあとに油分の多いクリームをたくさん塗り過ぎると、肌本来のはたらきが鈍ってしまうこともあります。
小ジワと大ジワのちがい
目尻や目元にできる細かい「小ジワ」は肌の乾燥が原因です。
保湿用の美容液を使うなどしてケアをしましょう。
対して「大ジワ」は紫外線や加齢によって真皮の弾力成分であるコラーゲンやエラスチンが衰え、肌の形状記憶力が低下することが原因です。
大ジワができやすい場所は、ふだんの表情グセで決まってきます。
目を見開いておでこにシワを寄せたり、眉をひそめて眉間にシワを寄せたりするクセがあると、次第に「寄せていたシワが、そのまま固定シワになる」という残念な事態に。
この場合は、単なる保湿ケアだけでは効果は期待できません。
肌の弾力を高めるビタミンC誘導体やレチノール、ナイアシンといった成分を含んだ美容液を使うことをおすすめします。
体に取り入れるなら、タンパク質(アミノ酸)とビタミンC をあわせて摂取すると体内のコラーゲンを作る原料となります。
(注意)
美容液を使うとき、シワを引っ張って溝の中に入れ込もうとするのはNGです。
そのあとシワがより深くなってしまう可能性があるからです。
決して引っ張るのではなく、やさしくなじませてください。
乾燥を防ぐことで、肌をトラブルから遠ざけることにもなります。
シワが気になる人は、乾燥対策とともに、自分の表情グセをチェックしてみて、今すぐケアを始めましょう。
読んでくださりありがとうございました。